RPA BANKをご覧のみなさま、こんにちは!「RPAをはじめてみようかな」と思っている(でもIT関連少々苦手、という)みなさまに向けたお気楽RPA解説連載、「さるでき流 RPAのはじめかた」、現在第11回が終わったところです。

第6回から書いてきた第2シーズン『WinActor編』が終わり。さてさて、次のシーズンの準備をしましょうかねー、とツールの準備をしているワタシのもとに、一通のお便りが届きました。ここでご紹介させていただきますね。

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毎回、楽しみながら勉強させていただいてます。(笑)
ぜひ、WinActorでの分岐&繰り返し処理をコロボ君で説明をお願いします。
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わーお!ありがとうございますー!
嬉しいー!ホント励みになりますー!

「勉強させていただいてます」という言葉の後ろに、「(笑)」という言葉が繋がるのは、業界広しと言えどもこの連載くらいしかありますまい。はっはっは。いえいえ、それが超大事。勉強はリラックスしながらやるのが一番頭に入りますのでね、むしろそれくらいが丁度良いのですよ。

よーし、それでは今回は番外編、『リクエストコーナー』と題しまして、ご要望いただきましたWinActorでの分岐&繰り返し処理についてご紹介させていただきます。

コロボくーん。ご指名ですよー!

【WinActorの分岐】
まずは「分岐」の方から見ていきましょうか。「分岐」というのは、ある処理を行った結果に対して、「それがもしAだったら次はアレをしなさい」「それがもしBだったら次はコレをしなさい」と、「条件」を用意して後続の処理を切り替えることを言います。

実はワタシ達人間は、普段からチョイチョイ分岐を行っていまして。例えば、

STEP1 コンビニでコーヒーの棚の前に行きます
STEP2 並んでいるコーヒーの値札を確認します
条件A もしブラックコーヒーが100円セール中だったら→ブラックコーヒー
条件B もし全てのコーヒーが通常価格だったら→ミルクたっぷりコーヒー
(※個人的な見解が含まれている可能性があります)

こんな感じに、条件によって処理を切り替えています。コロボ君、もといRPAツールは、人間の代わりに作業を行う目的で作られていますので、このような「処理の分岐」ができるようになっているわけですね。

それでは、「WinActor」ではどんな感じに分岐を行うのか、実際の画面を見ていきましょう。いつもの3画面、オープン!

今回は超シンプルな分岐を作っていきます。まずは、「変数一覧画面」で「変数」をひとつ作りましょう。変数の名前は何でもOKですが、ここでは『価格』と付けておきました。

次に、「フローチャート画面」に移って、「変数」のフォルダの中から「変数値設定」のアクションをグイッと持ってきてください。フローの中に設置ができたら、「プロパティ画面」を開きましょう。

変数名のプルダウンの中に、先程作った変数「価格」が入っています。それを選んで、値の欄に「100」と設定して、「OKボタン」を押します。

続けて、「フロー」のフォルダの中から「分岐」フローをグイッと持ってきましょう。場所は先程の「変数値設定」の下に置きます。ドーンと大きな『分岐グループ』が登場しましたね。

こちらの分岐グループ、「分岐」と書いてある菱形のボックスが『分岐条件』を設定・判断する部分になります。もしその条件が「正しければ」、処理は『True』に向かい、もし「正しくなければ」、処理は『False』に向かう、という動きになるわけです。

では、分岐のプロパティ画面を開きましょう。

True(真)の欄に「条件式設定ボタン」がありますので、クリックして条件入力画面を立ち上げます。

今回は「価格」が「100円以下だったら」『True』になるよう条件を設定します(もし棚に100円のブラックコーヒーがあったら、Trueという想定です)。設定したら「OKボタン」押して、フローチャート画面まで戻りましょう。

最後に、処理がどちらのルートを通ったのかがわかるよう、「True」と「False」の先に「メッセージボックス」を設定しておきます。メッセージボックスは、「ユーザ」のフォルダにある「待機ボックス」で作ります。

待機ボックスのプロパティはこんな感じ。ラジオボタンを「確認待ち」にして、「メッセージ」を書くだけです。「True」の方と「False」の方、各々に「それっぽいメッセージ」を添えて設定しておいてくださいね。

では!準備ができましたので、「実行ボタン」を押して分岐を見ていきましょう。コロボ君どうぞー!

はい!棚に100円のブラックコーヒーが見つかりましたので、ブラックコーヒーが選ばれましたー!まあ100円ですものね、正直味的にはテンションが上がりませんが…背に腹は代えられません。「ブラックコーヒーを嗜んじゃう自分」に酔いながらレジに持っていきましょう。

では次に、「価格変数」を「120円」にしたパターンで実行します。「変数値設定」のプロパティを開いて、値を「120」に修正したら、再度「実行ボタン」を押しましょう。コロボ君お願いしまーす!

はい!棚に通常価格(120円)のコーヒーしかありませんでしたので、ミルクたっぷりコーヒーが選ばれましたー!いやね、やっぱりこっちが幸せですよ。100円セールも無いことですし、意地張ってないで素直に2本レジに持っていきましょう!

よーし、バッチリ分岐できました。スッと動きが変わるのが面白いですね。条件の計算式を変えると、様々な分岐を設定することができますので、色々試してみてくださいね。

【WinActorの繰り返し処理】
では続きまして、繰り返し処理を見てみましょう。繰り返し処理というのは、ある処理を「指定された回数」、もしくは「特定の結果になるまで」繰り返し実行することを言います。

実はワタシ達人間は、こちらもよく行っていまして。例えば、

STEP1 コンビニでおにぎりの棚の前に行きます
STEP2 明太子おにぎりを購入します(翌日STEP1に戻る)

こんな感じに、ぐーるぐると日々繰り返しの海を漂っております。先程の繰り返しになりますが、コロボ君、もといRPAツールは、人間の代わりに作業を行いますので、このような「繰り返し処理」もできるようになっているわけですね。

ただし、このケースでは、毎日明太子おにぎりを購入する人(通称「明太子オジサン」)が誕生してしまいます。そう、繰り返し処理には「終わり」というものが必要なのです。

STEP1 コンビニでおにぎりの棚の前に行きます
STEP2 今週、何のおにぎりを買ったのかを思い出します
明太子おにぎりを2回しか買っていなかったら、明太子 OK
→(言い換えると)明太子おにぎりの購入は、一週間に3回未満ならOK

こんな感じで、先程の「分岐」と同じように、「条件」を設定して繰り返しを終わらせます。ではでは、その辺りにも注目しつつ、「WinActorの」繰り返し設定を見ていきましょう。さっきの3画面に戻りまーす!

こちらも分岐と同様に、超シンプルな繰り返し処理を作っていきます。まずは「変数一覧画面」で「変数」をひとつ作りましょう。変数の名前は、こちらも何でもOKなのですが、ここでは『回数』と付けておきました。初期値として、「今週の明太子おにぎりはまだ0回」を表す「0」を設定しておきます。

次に、「フロー」のフォルダの中から「繰り返し」フローをグイッと持ってきましょう。分岐と負けず劣らずの大きな『繰り返しグループ』が登場しました。

繰り返しグループでも、「繰り返し」と書いてある台形のボックスが『条件』を設定・判断する部分になります。その条件が「正しければ」『もう1回』処理を行い、「正しくなければ」処理を『終了する』、という動きになるわけです。

今回の条件はこんな感じ。「回数」が『3回未満』であれば「もう1回」処理を行う(明太子おにぎりを買ってよし)という条件にしました。設定したら「OKボタン」押して、フローチャート画面まで戻りましょう。

さて、このままですと処理の中で「回数」が増えていきませんので、「変数」フォルダの中から「カウントアップ」アクションを持ってきます。処理が1回行われる毎に、「回数変数」を「+1」する、というわけですね。

最後に、「メッセージボックス」を設定しておきましょう。分岐の時と同じように、「ユーザ」のフォルダにある「待機ボックス」をグイッとな。

分岐のときのようにメッセージを書いてもいいのですが、今回は「何回処理が行われたか」を確認するために、「回数変数」を表示するよう設定してみましょうか。

それでは!準備ができましたので、「実行ボタン」を押して処理行ってみましょう。コロボ君行ってらっしゃーい!ポチッとな−!

はい、よくできました!ちゃんと3回で処理が終了したようです。これで店員さんたちから「明太子オジサン」のレッテルを貼られる危機を回避することができました……かしら……ね? (心配な方は条件式を修正して、繰り返し回数をもう少し少なく設定しておきましょう)

よーしコロボ君、本日の大役おつかれさまでしたー。

【今回のまとめ】
「WinActor」を使った『分岐』と『繰り返し処理』、いかがでしたか?

今回は説明のために超シンプルな構成にしましたが、それでも分岐や繰り返しの処理を設定すると、フローチャート画面がグッーと複雑になっていきます。「こっちに行った時はこうなって…あっちに行った時はああなって」と、ルートを追いかけていくだけでも一苦労です。ワタシ達人間は、こんな「分岐」や「繰り返し」を、「意識することも無く」毎日普通に行っているのですね。

もちろん、フローチャートが複雑になればなるほど、コロボ君のメンテナンスは大変になっていきます。そう考えると、RPAツール上で「分岐」や「繰り返し」を設定する際には、ワタシ達人間が思うレベルより「一段シンプルな条件作り」を心掛けたほうが良いかもしれませんね。みなさまも是非、色々試してみてくださいね。

さて!ということで今回は「WinActor」の番外編をお届けしました。

リクエストを送っていただいて本当〜にありがとうございます。ワタシはもちろん、編集チームのみなさまホックホクでしたよ!(RPA BANKは雰囲気がクール(注:ウチ以外)ですので、なかなかそんな風には見えないかもしれませんが、中の人達はみなさまからのメッセージがきっととっても嬉しいのです)

ではでは、またいつか番外編でもお会いしましょう。次回は通常編に戻って、第3シーズンの開幕になります。一体どんなステキなRPAツールが登場するのか、ご期待くださいませ。それでは次回もお楽しみに!