RPA BANKをご覧のみなさま、はじめまして。カワサキタカシと申します。現在企業様向け人材育成会社を営む傍ら、iPhoneアプリとか、WordPressとか、面白IT技術について、「作ることを楽しむ」をテーマに、どちらかと言えば『技術系じゃない』方々に向けた「さる(にも)でき流」の解説書を書いたりしております。
今回ワタシが取り上げるテーマは、「RPA(Robotic Process Automation)」というシロモノです。なんでも聞くところによると、「オレ達の仕事をロボット(パソコン)にやってもらおうぜ!」という大変21世紀らしい技術とのこと。
ほほう…ついに時代もココまで来ましたね。例の猫型ロボットの登場も現実味を帯びてきましたよ。
そんなドラ…じゃない。「RPA」について、そもそも「RPAって何?」というところから、ゆくゆくは実際にRPAツールを使って「ロボットを動かす」ところまで。ワタシもみなさまと一緒に、ヨチヨチ歩きをしながら手探りで進めて行こうかと思います。最近何かと進みの早いRPA業界ですが、少しだけ「手」と「気持ち」を休めて、ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。
【RPAって何?】
それでは早速はじめていきましょう。最初に「RPA」という考え方をカンタンに整理しておきますね。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略語、だそうです。日本語に直訳すると「ロボットによる」「手順の」「自動化」ということになります。よかったよかった、意外とわかりやすい言葉になりましたね。自動車工場を特集したドキュメンタリー番組のワンシーンを思い出します。こんな感じ。
そのイメージを持ったままで、少し部品を取り替えてみましょう。RPAで言う「ロボット」とは、「パソコン(上のツール)」のことを指します。もうひとつ、同じくRPAで言う「手順」とは、「みなさまが普段パソコン上で行っている業務(の手順)」のことを指します。つまり、『パソコンによるみなさまの業務の自動化』、それがRPAです。
仕事をするコンピューター、という位置付けから「Digital Labor(デジタルレイバー)」と呼ばれることもあるそうです。
…おっといけません。説明を始めてわずか3段落ほどで、IT業界っぽい「キリキリした雰囲気」になってしまいましたよ。
「RPA」や「Digital Labor」という言葉を使って話を進めると、この雰囲気がグイグイ加速していきそうですので、もう少しのんびり気軽に話を進められるよう、今回は1台のロボットを用意してみました。
それではご紹介します。「Kigaru ni Oshieru tameno ROBO」、略して『コロボ』君です。はい、ドン!
よーし、ぐっすりお休み中ですか。いい度胸です。
みんな大好き例の猫型ロボットは、「朝勝手に起きて、どら焼きを食べて、マンガを読んで、押し入れに戻って、寝る」という一連の動作を、泣き虫メガネ小僧の指示が無くても自動的に行ってくれますが、残念ながらコロボ君にはそこまでの高度な機能は搭載されておりません。ワタシ達がひとつひとつ「業務(手順)」を教えてあげて、はじめて動くことができます。「カメラを向けられたら起きなさい」という手順を教え忘れると、この通りです。
そんなコロボ君ですが、一度動き始めればグイグイ業務を進めてくれます。…多分…きっと。
「人間とロボットの違い」なんてことを語り出すと、SFやファンタジーのお話になってしまいそうですが、人間と比べて、ロボットとしてのコロボ君は以下のような特徴を持っています。
・人間は全ての手順を教えなくても自分の判断で業務を進められるものの、どんなに正しく教えてもミスは起こる
・コロボ君は全ての手順を教えてあげないと業務を進められないものの、正しく教えてあげれば絶対にミスをしない
まとめるとこんな感じです。余談ですが、ワタシは本業で人材育成業を営んでおりますので、ロボットが持つ「ミスをしない」という有り難さにはグッと来るものがあります。人間はですね…ミスをするのですよ。それは仕方がないのです。仕方はないのですが、一生懸命教えた直後にミスをされた日にはもう…ねえ?(以下略)
ワタシ調べによる「日々の業務時間が延びる原因」堂々の第1位は、「スイッチが入った上司による終わらないお説教」…ではなく。『小さいミスによる手戻り作業の積み重ね』ですので、その部分をゴッソリ無くすことができる!なんて言われると、コロボ君には激しく魅力を感じます。
よーし、それじゃあ今すぐRPA導入だ!コロボ君を100体持って来い!…と、お考えのみなさま。少々お待ちを。
先程ワタシこんなことを書きましたね。「ロボットは全ての手順を教えてあげないと業務を進められない」←コレです。さて、もしこの「教える」という部分が、『尋常じゃなく大変』だったら…どうしましょう?
確かに「手戻り作業時間」は削れますが、「業務準備時間」が増えてしまえば、「結局全体としては大して変わらなかった!」ということになりかねません。これは大事なポイントですね。ですよね!?
と、言うことで!ようやく長い前フリが終わりましたよ。この連載では、実際のRPAツールの画面を見ながら、コロボ君に「業務を教える流れ」を見ていくことします。果たしてどんな感じでロボットに魂を吹き込んでいくのか。ドキドキ&ワクワクのRPAツアーをどうぞみなさまご一緒にお楽しみくださいませ。
【RPAツール】
現在RPAツールは、複数社からリリースされています。もちろんどのツールも「パソコンに業務を行わせる」という部分では共通しているのですが、各社ともシェアを伸ばすべく、独自の便利な機能を開発してしのぎを削っている状況です。
今回はそんなRPAツールの中でも、国内でシェアNo.1を誇る「Biz Robo!」を取り上げます。WordしかりExcelしかり、IT関連のツールというものは、最初にスタンダードなものでしっかり「お作法」を身に付けるのが一番安心確実な学習方法なのですよ。
さて、ご覧頂いている画面は、Biz Robo! に含まれている、「Design Studio」という『ロボットに業務を教えるためのツール』の画面です。みなさまいかがでしょう?この画面。
「何やらムズカシそうな気がします」
『奇遇ですね。ワタシもそう思います』
こういう解説モノで書いてはいけないことかもしれませんが…敢えて書かせていただきましょう。そう!このツール。スタンダードなのですが「正直結構ムズカシイ」のです!
ワタシその昔、iPhoneアプリの解説本を書いておりまして。その際に「Xcode」なる開発環境(アプリを作るためのツール)をアレコレと分解していたのですが、Design Studioの最初のとっつきにくさたるや、ヤツに勝るとも劣らないレベルかと思います。
ですのでみなさま。「チャチャッと設定→バリバリ使える」的な考え方を、今だけそっと机の中に仕舞ってください。何事も『急がば回れ』と申します。焦って走り出して迷子にならないよう、ひとつひとつの機能を順番に見ていって、「なるほど、こんな感じか」という手応えを掴むところからはじめましょう。
…と、いうところで。残念ながら時間が来てしまいました。今回のお話はここまでです。次回は「Design Studio」の画面の見方を詳しくご紹介しますね。お楽しみに!